こんにちは!えでん(@shiru_toku)です。
革は加工に使用する皮の種類や加工方法によってたくさんの種類が存在します。中でも、革靴を探す際によく目にするのが「スムースレザー」です。スムーズレザーとはどんな革で、どんな特徴があるのか?どんなお手入れが必要なの?
本記事ではスムースレザーについてわかりやすく解説します。
本記事の内容
- スムースレザーとは?
- スムースレザーの種類・特徴
- スムースレザーのメリット・デメリット
- 銀付き革とガラスレザーの見分け方
- スムースレザーのお手入れについて
スムースレザーとは?
スムースレザーは表面がなめらかな革の総称です。スムースは英語で「smooth」と書き、平ら[滑らか]にする、ざらつき[でこぼこ]を減らす[なくす]という意味があります。
革の表面が起毛しているスウェードやヌバック、アニマルスキンやシボ調の型押しなどの加工を経た凹凸のある革は含みません。スムースレザーは牛の革(仔牛~成牛)を使用したり、羊や豚の皮を使用します。
また、スムースレザーは皮の表側を使用します。人の皮膚表面と同じ面で、見た目もしなやかなのが特徴。ちなみにスウェードが皮の裏側、ヌバックが同じ表側を起毛させた素材になります。
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スムースレザーの種類・特徴
スムースレザーは大きく分けて次の2種類に分けることができます。製作工程や使用する塗料の違いで分けられます。
- 銀付き革
- ガラスレザー
銀付き革
革の銀面(なめした革の一番外側表面)をそのまま使用する革を「銀付き革」と言います。使用する皮の種類により、革面のキメの細やかさ、毛穴の大きさ、形状などさまざまな表情(銀面模様)を表します。人の肌のような見た目です。
銀付き革は、革本来の風合いを活かしており、傷などが目立つ銀面は使用できないことから、それ自体が高価になります。
なお、銀付き革の仕上げにはカゼインや、ラッカーといった染料が使われます。そして、染料を使用した仕上げは「アニリン仕上げ」と呼ばれます。
ガラスレザー
ガラスレザーは宝石のようなスムースで均一な表面、ツヤ感が特徴です。「ガラス貼り革」とも呼ばれます。
しかし、ガラスのような見た目だからガラスレザーではありません。皮をなめしたあとの加工から、ガラスレザーと呼ばれています。その後、銀面の表面をバッフィング(磨き処理)をし、顔料や合成塗料などで塗装仕上げを施して光沢を出します。皮に元々あった傷や汚れ、毛穴などを目立たせず、均一な表面になります。
銀付き革と違い、エナメルに近いような一見して作り物のような見た目が特徴です。
ガラスレザーは銀付き革と違い、使用する皮に傷が付いていても問題ありません。そのため、皮のクオリティに左右されず安価で販売されていることが多いのも特徴です。
スムースレザーのメリット・デメリット
次にスムースレザー、銀付き革とガラスレザーについて、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
銀付き革のメリット・デメリット
銀付き革は仕上げに染料が使用されています。染料は革に染みこませる着色剤で、次のようなメリット・デメリットが挙げられます。
メリット:革表面の銀面模様が楽しめる、革に柔軟性があり窮屈感が出にくく曲げやすい
デメリット:表面のコーティングがほとんどなく、耐久性や耐水性に乏しい
ガラスレザーのメリット・デメリット
一方、ガラスレザーは仕上げに顔料が使用されています。顔料は革表面に塗りつける着色剤で、次のようなメリット・デメリットが挙げられます。手入れの手軽さや、雨・汚れへの耐久性から、雨の日や通学用におすすめです。
メリット:耐久性に優れる、雨・汚れに強い、手入れが楽
デメリット:伸びにくい、一度入ったシワが直らない
スムースレザーのお手入れについて
ここからはスムースレザー共通のお手入れを紹介します。
なお、銀付き革は耐水性に乏しいため履く頻度に合わせて防水スプレーを吹くのがおすすめです。ガラスレザーはシミになる可能性があるため、必ず目立たない箇所で試してから使いましょう。
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スムースレザーのお手入れ:ブラシによる汚れ落とし
まず靴表面に付着したホコリや汚れを馬毛のブラシで落とします。普段のお手入れはこれだけでOKです。
つま先からかかとまで払うようにブラッシングします。加えて表面の縫い目や溝、コバとの境にブラシの毛先を差し込んでブラッシングしましょう。
このブラッシングには必ず馬毛を使うようにしてください。馬毛は柔らかく、靴表面に傷を付けずに手入れできるからです。ブラシの目安としては、筆のようにしなやかなものであれば問題ないです。髪用のブラシのように固いものはNGです。
スムースレザーのお手入れ:クリーナーによる汚れ落とし
ちょっとしたシミ汚れは布やクロスで空拭きしましょう。それでも落ちない場合はクリーナーを使います。
ブラッシングで表面の汚れを取った後、革靴用のクリーナーを柔らかい布やクロスに少量取ります。つま先からかかとに向かって円を描くように布を動かして汚れを落としていきます。円を描くようにすることでムラなく汚れを落とすことが出来ます。
シミの原因になるため、クリーナーは少量ずつ取り何回かに分けて革全体の汚れを落としてください。
スムースレザーのお手入れ:つや出し
汚れ落としが終わったら最後につや出しをします。いわゆる「靴磨き」はこの部分ですが、キズ隠しもできる工程です。
靴クリームを柔らかい布、またはペネトレイトブラシ(小さい筆型ブラシ)に少量取って革全体に塗っていきます。汚れ落としと同じように、つま先から塗り広げていきます。これ以上塗り広げられない!となったら、また少量取って塗り広げます。
塗り終わったら、毛の固い豚毛ブラシで革全体をシャカシャカと均していきます。こうすると、塗りすぎたクリームを取って足りない部分に塗り、表面を均一にします。
塗り広げ終わったら、きめの細かい布や仕上げミットを使って靴全体を空拭きします。豚毛ブラシで作った均一な表面を磨くことでツヤを出すことができます。このとき、つま先とかかとを念入りに磨くようにしてください。つま先とかかとはシワが入らない部分なので、きれいなツヤを見せることができます。
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まとめ
本記事ではスムーズレザーとはどんな革なのか?どんな特徴があって、どんなお手入れが必要なのか?について解説しました。
スムースレザーは表面がなめらかな革の総称であり、表面が起毛しているスウェードやヌバック、型押しなどの加工を経た凹凸のある革は含みません。スムースレザーは牛の革(仔牛~成牛)を使用したり、羊や豚の皮を使用して作られます。一言に「スムースレザー」と言っても、しなやかさや風合いは革によってさまざまです。
また、スムースレザーには「銀付き革(染料仕上げ)」と「ガラスレザー(顔料仕上げ)」があります。仕上げ方や塗装の仕方が異なり、それぞれメリット・デメリットも異なります。
ぜひシューズ選びの参考にしてください!